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【縦書きピンチ】

今、例えば100万円という数字を書く時、
¥1,000,000
と、カンマを打ちますが、
¥100,0000
と、打つ方が遥かに読み易いことに気付いたのは、かなり大人になってからでした。

31億4675万8902円というような大きな数字だと、これが一層顕著になります。
¥3,146,758,902
と区切ると、大変分かりにくいのですが、
¥31,4675,8902
とすれば、視覚上確かに「31億4675万8902円」となり…うん、実にスッキリ。

これは、日本が戦後、様々な生活習慣を欧米に合わせたことによる、歪みのひとつだと思います。
こんな分かりにくいものを、何の疑いも持たずに毎日使っている日本人は、ある意味本当に凄いと思います。

私は、3つ単位のカンマがもう当たり前の世代。
日々扱う数字について、4つ単位の区切りを3つ単位に変更するのは、相当な決断があったもの、と想像します。
変更にあたり、いつ誰がどんな形で号令をかけ、日本国民はどうやって受け入れたのか…ということは、大変興味深いものがあります。
(…ご存知の方いらっしゃれば、教えてください。)

これと似たようなものに、文字を書く「方向」のことがあります。
ご承知の通り、戦前、文字を「横書き」にする時は「右から左」へ書いており、今でも町の古い看板で目にすることがあります。
これは、本来「縦書き」である日本語を改行する時に、「右から左」へ移していったことから生まれたものでしょう。
現在は、PCでも手書きでも「左から右」の横書きでほぼ統一され、縦書き文化は誰が見てもかなり形勢不利。
数年前からは、戸籍や住民票のような公的書類までもが横書きになりました。

そんな時代にあって、悩ましいものを発見してしまいました。
OA機器に登場する「あいうえお50音表」。
健気に「縦書き」を守っている姿は微笑ましい限りなのですが、若干の混乱があります。
出回っているのは下記の2種類。
皆さんにとって、どちらがより自然に感じますでしょうか。



2011/07/01 杜哲也