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【第144回/“凄い力”の話】

天は私に、「凄い力」を与えてくれました。
それは、作曲する力です。
心の底から感謝しています。
私は、生ある限りその力を使い続けると思いますし、この世における私の使命だと考えています。

音楽で思いの丈を表現する…という行為は、誰にでも出来る話ではありません。
私は特別な教育を受けて育った訳ではなく、高校時代に、授業や文化祭で幾つかの不思議な体験をしたことによって、この世界に導かれました。
還暦過ぎた今だからこそ、恥ずかし気もなくこんなことを書いていますが、高校卒業後かなり長い年月は、不安と迷いの中で過ごしていました。
その時でも、細やかな作品を仕上げる度に、体中が震えるくらいの喜びに包まれましたし、それは今でも全く一緒です。

しかし私は、多くの人が出来る当たり前のことが、なかなか出来ません。
そのことで、身近な人を傷付けてしまったり、自分自身が大きく落ち込んでしまったりする体験は山のようにあります。
上手く出来なくても、それらから逃れる場所は地球上にはなく、むしろ生活の多くの場面では苦手な事柄と対峙しています。

こんな私を支えてくれるのは、間違いなく周囲の人たちです。
私が天から授かった「凄い力」は、その人たちによって支えられています。
幸いなことに、私が上手く出来ないことを簡単にやってしまう人たちは、私の「凄い力」を「スゴイッ!」と言ってくれます。
私にとっては、あなたの方が余程「スゴイッ!」のであり、社会は色々な「スゴイッ!」で成立しているのです。

だからこそ、世の中の仕組みで最も大切なのは、相互補完や果実の分配…といった事柄なのです。
…来月もまた、国政選挙があります。
食糧やお金が、何処か一部の人や国に偏らない方法を、何とかして政治の「凄い力」で実現させて欲しいなぁ、と切に願います。
それが、音楽業界の発展にも繋がり、世界の平和にも繋がるのです。

= 2022/06/16 杜哲也 =


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