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【第85回/送料無料】

今月はお金のお話。
…限られた「資源」です。
どこに使うかは、誰だって毎月切実な問題でしょう。

各種商品やサービスへの対価、お世話になった人へのお礼、楽器の維持費、活動のための資料集め…などなど、お金の使い方はその人の生き様をよく表します。
当然、お国の予算配分もそのひとつ。
是非とも、愛する日本国が間違った方向に行かないよう、価値ある使い方をして頂きたいものです。

…で、日頃から気になっている表題のお話。

ネット社会になってから、品物を対面で買う機会がどんどん減っています。
各種品物は小売店を介することなくご家庭に届けられるため、対面販売のお店はどうしても太刀打ち出来ません。
結果、宅配業界は大忙し。
皆さんも、街で荷物を運ぶ宅配便のお兄さんの姿はよく目にすることでしょう。

私は、連日荷物を運び続ける彼らに対し、とても好印象を持っています。
運転マナーは勿論、駐停車する時のエチケット、重い荷物でも精密機械でも嫌な顔せず、無駄口を叩かず、時間指定を忠実に守り、時には集金や集荷も行い、言葉遣いも心得ている…、正にプロの仕事師です。

ところが今の世の中、「送料無料」が当たり前の時代。
なぜ、彼らの働きぶりが「無料」なのか。
私は、彼らにこそお金を払いたいッ。
それが叶わなくても、何もここまで「送料無料」を連呼しなくたって…。

思えば、音楽を「タダ」と思っている人たちも沢山います。
社会のいたるところで「ミュージックチャージ無料」と看板を出されれば、それが当たり前の社会になります。

荷物を発送する側は、宅配業者を無料で雇っているのではなく、商品代金の中に「こっそり」入れています。
せめて、その部分を明示出来ないものか。
例えば、贈答品のラッピング料金のように。

ま、消費者心理を考えると、そこがムズカシイのは重々承知しているのデスが…。
負けるなッ、宅配のお兄さん~。

→2017/09/26 杜哲也


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