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【第97回/岡口基一さん】

このお名前をご存知の方は、ニュースの目の付け所が私と似ています。

今回、彼の発信するツイッターにより気分を害された方がいて、そのことが彼の職場内でトラブルになっていました。
彼はこれまで、職場からツイッターをやめるよう度々注意されています。
でも、彼は応じませんでした。
「誰にでも表現の自由はある」と。

確かに、一風変わった彼のツイッターを見ると、目くじらを立てる大人たちがいてもおかしくはありません。
17歳の女性が無慈悲に殺された事件を茶化すようにツイッターに書き、それが親御さんの目に触れればたまったものではないでしょう。
更に、そのツイッター主の勤務先がはっきり分かる書き方であれば、上役としては放っておけません。
「我が社の立場も考えてくれたまえ」と。

この話、20歳前後の新入社員が、プライベートなことで部長から注意を受けているのではありません。
東大法学部卒業の52歳の現役裁判官が、最高裁判所でご自身の懲戒について裁かれる…という報道です。

今の裁判システムは、被告も検察も、どの裁判官に裁いて欲しいか指名することは出来ません。
裁判官には「個性」があってはならない、という前提で動いています。
裁判官は、六法全書や過去の判例を元に淡々と裁くのです。

その前提で、岡口基一さんにはこう言いたい。
表現の自由…これで争うならば、是非とも表現活動で勝負して頂きたい。
私は、それによって社会は必ず変わる、と信じています。
そして、裁判所にはこう言いたい。
皆さんは権力者であり、直接的に社会を変えてしまいます。
もっともっと、批判の目に晒される工夫をしてください。

==================== 2018/09/18 杜哲也


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