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【第98回/軽減税率と新聞】

消費税10%施行まで、あと1年を切りました。
高齢化社会を支える貴重な、そして切り札的な財源として、是非とも有効に活用して頂きたいものです。

今回、税率が8%に据え置かれる例外品目がふたつあります。
食料品と新聞です。
私は例外を作ること自体に反対ですが、今回突っ込むところではないので(涙を呑んで…)スルー。
書きたいのは新聞について。

国会討論の際、新聞を軽減税率の対象とする理由を問う、良心的な議員さんがいました。
その時の大臣答弁は以下の通り。
「新聞は、広くあまねく情報を均質に伝えている。“知識には課税しない”という考えは、誰もが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を支える上で不可欠である。」

新聞は、権力者がその立場を利用して何らかの優遇措置を受けた時、その叩き方には異常なものがあります。
特に、自分たちの日頃の論説と相反する主張をする議員さんに対してはそれが顕著。
ところが今まさに、自分たちがその立場を利用して、税制上の優遇措置を受けることをほとんど報じません。

その薬を買わなくては、まともな生活が営めない医薬品にも10%かかるのです。
子供に音楽教育を施したい親心に対しても、例外はありません。
勿論、ちょっと暇つぶしに入ったパチンコ屋で玉を買う時にも課税されます。
綺麗なママさんと話したくて、一杯引っ掛ける時にも支払います。
そして、我々としては人生賭けて磨き上げてきた、自分たちの芸を披露するチケット売上に対しても10%課税されるのです。
国民全員で社会保障制度を支える、という輪の中から、新聞社だけが脱落すれば、今後の筆の力にも影響することが分からないのでしょうか。

因みに、未だに政党助成金を受け取らずに政治活動を続けている政党もあります。
増税まで、まだあと1年あります。
道理の通らないお金を受けることを恥ずかしい、と思うのであれば、まだまだ方法はあるでしょう。

==================== 2018/10/15 杜哲也


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