column
【第102回/私の練習方法2】
今回は、私の具体的な練習方法を3つ書いてみます。
まずは前回の続き、「パターン・フォー・ジャズ」。
私がこの教材にハマったのは、コード付けや移調という頭脳作業を、演奏という肉体作業にシンクロさせる面白さにあった、と考えています。
そもそも教則本というものは、ひとつの閉じた空間を創って学習者を拘束しますが、ここでは各エクササイズの使い方を読者に委ねることで自由な領域が大きく広がっています。
今は、版権を引き継いだ出版社がタイトルを「パターン・フォー・インプロビゼイション」に変更して増刷を続けています。
ふたつめは、リズムのお話。
主にレッスン室の中でのお話なのですが、演奏を間違えた時、生徒さんは(当然ながら)弾き直します。
でも、弾き直したことによって修正されたのは「音」だけで、この時に大きな犠牲を強いられるのがリズムです。
人生、失敗は付き物。
誰にも時の進行は止められず、起きてしまったことは受け入れて前に進むしかありません。
ましてや、音楽は一発勝負の時間芸術。
出来るだけ「弾き直さない練習」をして、軽音楽特有のビート感を養うのです。
みっつめは、バッハ。
軽音楽は、ともするとオリジナリティーを隠れ蓑にした出鱈目に陥りがちな世界。
バッハを弾くことによって真実の音楽と対話し、自分の行儀の悪さを少しでも修正するのです。
秩序良く並んだ音符を弾いていると、ピアノという派手な楽器がなかった時代に書かれた分、音楽のエッセンスが五線の中に凝縮されていることを実感します。
私にとっては、この世で生きる力を与えてくれるのがバッハなのです。
さぁ、今日も練習するぞ~。
===============2019/02/01 杜哲也
《homeに戻る》