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【第110回/N国党の政策】

「NHKから国民を守る党」(N国党)が話題です。
ここでは、彼らが掲げる「直接民主主義」について、愛情込めて批判します。

N国党は、インターネットで問題の賛否を問い掛けて、票の多い方が民意…と判断する手法(=彼らの言う「直接民主主義」)を前面に打ち出しています。
私は、この手法に反対です。
理由は責任の所在。

かねがね、民主主義は責任の所在を曖昧にするシステムだと感じていました。
(民主主義よりベターなシステムがないことも十分に承知しています…念のため。)

大衆は気まぐれなものです。
独裁政権は、多くの問題を抱えつつも責任の所在が明確です。
つまり、上手く行かなかった時は、その独裁者を倒せばよいだけの話。

ところが、民主主義では主権者(=国民)の選択がその後上手く進まない例なんて、数多くあるのです。
古くは、新自由クラブ(河野洋平さん)、日本新党(細川護熙さん)。
最近では、民主党(鳩山由紀夫さん)、希望の党(小池百合子さん)。
皆、ワ~ッと持ち上げられて、ストンと落とされました。
落とされた当事者は次の選挙で責任を取らされますが、無責任な主権者たちは過去はなかったことにして次の選択をするのです。

直接民主主義となると、これが一層過激になることは間違いありません。
顔を出さない主権者たちは、100年先を見越した判断をせず、目先の幸せや周囲の有力者たちによる空気感を優先します。

政治は現実であり妥協です。
宗教や芸術とは、そこが決定的に異なります。
だからこそ、宗教は分離されるべきで、芸術は支援されるべきなのです。

N国党は、NHKのスクランブル放送が実現したら解散する…と公言しています。
早いとこワンイシューを果たして頂き、さっさと解散して頂くしかありません。

===============2019/08/24 杜哲也



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