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【第115回/カルロス・ゴーンさんのこと】

年末に圧倒的なインパクトがあった、このニュースについて書きます。

凄いことをやる人、というのは、やっぱり何かが違う、そんな気がしました。
だって、瀕死の日産自動車を救った、いわば日本経済界のスターだった人でしょ。
その逮捕だけでも驚いていたのに、保釈中の国外逃亡。
これをドラマチックと言わずして何と言うのでしょう。

論点は以下のみっつ。

1.ゴーンさんの保釈を認めたこと。
2.ゴーンさんが国外逃亡したこと。
3.ゴーンさんは本当に罪を犯したのか。

ひとつめは、認めるしかなかったと思います。
保釈金15億円が妥当かどうかは分かりませんが、彼にとっても裁判所側にとっても金額なんて大した問題ではありません。
だって、150億なら逃亡を食い止められた、なんてことはありませんから。
ましてや彼は、言われた金額を払っただけで返せとも言ってないので、争点にもならないのです。

ふたつめ、これが凄い。
日本の出国管理の甘さ、と、彼の取り巻きの忠誠心、…この双方が整わなければ、今回の脱出劇は果たされません。
出国管理に携わる人たちは、自分たちの仕事が完全におちょくられたことに対してどう感じているのでしょう。
日本中、いや、世界中に恥を晒したと思います。
それ以上に凄いのが、取り巻きの忠誠心。
私には、ゴーンさんにはそれだけの魅力がある、としか考えられません。
ルパン三世が、次元、五エ門、不二子らの助けを借りて脱獄する姿と重なります。

みっつめ、ここが問題。
まず、受け入れたレバノンのことを考えてみてください。
日本の出国管理とレバノンの入国管理、両者の厳しさの違いは火を見るよりも明らかです。お隣はイスラエルなのですから。
国に害を与えそうな人物の入国は必ず拒否される…、それが国際社会というものです。
今回私は、彼がレバノンで次の大統領になるかもしれない人物だということを初めて知りました。
日本の裁判所で裁かれたら結果は見えている、しかし、レバノンなら…。
彼はここに賭けて、勝利したのだと思います。

このドラマは、必ずや続編が作られるはずです。
興味深く待たせて頂きます。


===============2020/01/03 杜哲也



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