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【第125回/携帯電話の契約】

三年前、私は携帯電話会社に契約を断られました。
仕方ないので、しばらく他者名義で急場を凌いでいましたが、先日やっと自分名義に戻すことが出来ました。
稀有な体験だったので、書き残したいと思います。

その時までは、極普通に自分名義の携帯電話を使っていました。
あの日、いよいよ人生初のスマホ契約をすべく、必要書類を揃えてショップに出向きました。
記入を終えて待っていたところ、店員さんから突然…、
「お客様、申し訳ございません、お客様とは契約が出来ません。」
えっ、だって、さっきまで契約してたじゃん?!

携帯電話は、銀行口座やクレジットカードなどと並んで、反社会勢力の人たちが喉から手が出るほど欲しいアイテムです。
何せ彼らは、真正直に申請しても契約出来ないようになっているのですから。
そのこと自体は、一市民としてむしろ安心材料。
戸籍さえも売買が横行する時代ですので、公共性の高い企業には是非とも頑張ってもらって、水際で食い止めて頂きたいです。

今考えると、店員さんもさぞお困りだったでしょう。
彼は、マニュアル通りに書類を記入してもらって、本部に送るだけのお仕事。
しかも、本部からは契約不可の理由が一切知らされないのです。

確かに私は、警察の職務質問には毎回非協力的です。
所持品検査なんて、応じたことがありません。
役所の窓口で、理不尽な対応に大きな声を出したことだって何回もあります。
…でもね、ラーメン屋のご主人に「お前に出すラーメンはないよ」と言われるのとは、次元の異なる影響力があるのです。

以来三年間、携帯各社を筆頭に、信用調査会社、消費者センター、総務省、弁護士、司法書士、商工会議所…などなど、相当数調べました。
どこに行っても解決に繋がる情報は得られないどころか、相手によっては相談内容を伝えたとたんに私を見る目が変わります。
自分に関して身に覚えのない情報が社会に出回り、一方的に村八分になる、…何とも不条理な状態です。
現代社会、冤罪で裁かれる場合でも弁明の機会がいくらでもあるでしょうに、土俵にさえ上がれない…。

この度、三年ぶりに自分名義に戻りましたが、この間私に付いた「札付き野郎」の勲章は、今でも受賞根拠が不明です。
更に言えば、今回、名誉を回復した理由さえ全く分かりません。
もし、同じご経験をお持ちの方いらっしゃいましたら、是非ともご一報ください。

= 2020/11/05 杜哲也 =



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