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【第149回/JASRAC判決にあたって】

先月25日、音楽教室への著作権料徴収に対する最高裁の判決が出ました。
講師演奏は徴収対象、生徒演奏は徴収免除、という内容です。
これにより徴収額は、当初JASRACが想定していたものよりもかなり小さくなるのでは…という報道が主流ですが、これまで治外法権だった「レッスン室」が「商業区域」とみなされることは、この判決で確定されました。

音楽教室という業種は、実に多種多様です。
バロック音楽を教える教室では、著作権の切れた(というより当初からその概念がない)曲ばかり教えるでしょうし、カラオケ教室だと、正に「今が稼ぎ時」の流行歌が多数使われると思います。
また、あくまで「経済活動」という枠の中で地道にやっているお教室もありますが、友達付き合いのような感情で成立している小規模教室もあります。

しかし、質や量によって差異が生ずるのは他の業種でも同じ。
JASRACは今後、判決でお墨付きとなったことにより、徴収のルール作りに乗り出すと思います。

この時、他業種と大きく異なるのは、このルール作りを民間団体であるJASRACが「一社で」決めていること。
競合する著作権管理団体はなく、市場原理が働きません。
少なくとも一部は行政や政府の仕事のような気もしますが、誰も論じないので私が知らないだけなのかもしれません。

あのNHKであっても、常に民間放送局と競い合いながら仕事をしていますし、総務省や国会の縛りは受けています。
JASRACは、どのような縛りの中でルール作りを進めるのでしょうか。

NHK集金人は、アポなし訪問を繰り返しています。
その内に「JASRAC集金人」という新しい仕事が出来て、アポなし訪問が始まるのでしょうか。

NHKは、番組を見ていなくても受信料徴収があります。
著作権切れの曲しか教えてなくても、著作権料の請求が来るのでしょうか。

JASRACさん、これから生まれる新しい資金を使って、音楽を愛する多くの人たちに向けた、分かり易い広報活動を是非是非お願いします。

= 2022/11/03 杜哲也 =

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