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【第151回/自分の仕事2】

この正月、アマゾン prime videoに「男はつらいよ」シリーズの最終作「お帰り 寅さん」が出ていたため、衝動的にクリック。
2時間がアッという間に過ぎました。
…いやぁ、存分に楽しみました。
ホント、素晴らしかったです。

クレジットを見ると、公開されたのは令和元年の師走。
昭和の正月映画定番が、平成を飛び越えて令和に足跡を残していたことを初めて知って、そこでまず嬉しくなります。
(この感覚、一体何なんだろう?)

公開当時、この22年ぶりの「新作」がマスコミを賑わせていたことは、鮮明に覚えています。
寅さん好きの私としては当然気になっていましたが、残念ながら見逃していました。
もう、prime videoには感謝しかありません。
因みに同時期のprime videoには、「シン・ウルトラマン」も出ていましたが、こちらには、何も共鳴するものはありませんでした。
(全く、昭和のヒーローを何だと思ってるんだ!)

「お帰り 寅さん」でまず引き込まれたのは、お馴染み冒頭シーン。
桑田佳祐が、渥美清と同じキーで歌う主題歌。
ヤラレタ…私はもう、これだけで涙涙。
映画後半、まだ幼さの残る吉岡秀隆が「人間って何のために生きてるの?」と寅さんに問う場面。
寅さんが、「生きてて良かった~と感じる瞬間があるだろ。そのために生きてるんだよ」と答える、正にその通りになりました。

「お帰り 寅さん」は、「男はつらいよ」の50作目。
正に、偉大なるマンネリズムだと思います。
クリエイターという人種は、何かと新しいことに走りがちですが、バッハもユーミンも、結局は偉大なるマンネリズム。
ヘタに浮気心出さず、自分の仕事をやるのみですね。

= 2023/01/11 杜哲也 =

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