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【第158回/それぞれの言い分】

相性の悪い人?
…そりゃいますよ。
むしろ、相性の良い人なんて、一時の錯覚だと思ってますから。

人の世は、相性の悪い状態で回るのがむしろ普通の状態。
だから私がイヤなのは、了解不十分の人を自分色に染めようとする行為や、もっと酷いのは、真ん中にいる弱き存在を、何とかして自分側に引き込もう…とする行動。
だって、ヒトという生き物は、幾らそんなことされたって、結局、無駄なんですから。

例え、その時に首尾よく自分側に引き込んだとしても、長いお付き合いの中では、どうしたって、化けの皮、剥がれますよ。
誰にでもそれぞれの好みや言い分があり、多かれ少なかれ、それが世のスタンダードになればいい…って思ってますから。

でも残念ながら、人生も社会も、なるようにしかなりません。
あ、いえいえ、待ってください、ね。
決して、投げやりになっている訳ではありませんよ。
…そうそう、今話題の、プーチンとゼレンスキー、彼らを見てやってください。

自分と考えの異なる相手を、殴り合いで屈服させる…、という最悪の見本です。
腕力で勝利を収め、一時の充足感を得て、見た目の征服感に浸る…、プーチンさん、ゼレンスキーさん、それで、シアワセですか?

そりゃ、自然界の掟、弱肉強食、腕力の強い奴らが、歴史を作ってきた側面はあると思いますよ。
でもそれは、20世紀で、オ・シ・マ・イ。
現代日本に生きる我々は、そのことを、痛いほど知っている民族です。

一番大切なのは相互理解。
そして、それらを伝える独自の文化を持ち、相手側の言い分を聞き入れる優しさを持つこと。
幸い、21世紀の現代社会は、多種多様な価値観を認める空気が膨らんでいます。

私は、自分の世代責任として、このことを、何としても次世代に伝えたいのです。
安直な言葉や目先のお金ではなく、骨太の文化を創れッ、と。

= 2023/08/01 杜哲也 =


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