第177回/初めての民謡レッスン
私は、西洋の音楽を聴いて育ち、西洋の楽器を演奏しているミュージシャンです。
学校で教わってきた音楽の歴史は主にヨーロッパのもので、友人たちとの会話に出てくるのはアメリカナイズされたポップ・ミュージックでした。
戦後生まれの日本人であれば、私のような音楽体験は決して珍しいものではないと思います。
そんな私が、先日、生まれて初めて民謡のレッスンを受けました。
きっかけは、ここ数年続けている、東北地方の民謡をアレンジして歌う企画です。
企画が継続する中で、日本語の発音、リズムの作り方、旋律の崩し方、などについて感じ始めた疑問や不安を解消したくなったのです。
レッスンは、驚くほど新鮮で有意義なものでした。
私がこれまで創ってきた歌は、日本語を西洋音楽風に展開しています。
民謡内の日本語には、これまで私がJ-Popや歌謡曲で耳にしてきた言語と同じとは思えない味わいがありました。
発音や発声も独特ですが、特にリズムの捉え方には根本的な差異を感じました。
レッスン素材は、青森民謡「鯵ヶ沢甚句」。
そもそも譜面がなかったため、この日は私が採譜したものを使いましたが、考えてみると、「鯵ヶ沢甚句」を五線譜に書く…という時点で土俵を間違えたような感覚にもなります。
日頃使っている日本語やペンタトニック・スケールを、視点を変えて眺めてみることにより、まるで新しい音素材に巡り合ったような印象を持ちました。
お陰様で今年の民謡パフォーマンスは、これまでにない充実感を持って終えることが出来ました。
出来栄えはまだまだですが、少しずつ前進出来ている実感があり、次に繋がるものを感じています。
= 2025/03/05 杜哲也 =
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