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第180回/年金受給手続き

先日、「年金受給手続き」なるものを体験しました。
これをやらないと、今後、日本国政府から、生活資金は頂けません。
3月生まれの私は、同級生の中では「大トリ」だったと思われます。

出頭要請に応じて、年金事務所に出向き、受付で番号札を渡されます。
数字で呼び出され、職員からの説明を受けます。

控え目に言っても、実に難解でした。
約45分にわたる説明を、一度で理解出来る年金受給者はいないのではないでしょうか。
「そんな話、聞いてねぇよ〜」と後から言われないよう言葉を足していく中で、どんどん複雑になっていった…と想像します。

その若い職員は、見るからに真面目そのもの。
自分より遥かに年上の受給予定者に対し、毎日この説明を繰り返しているのでしょう。
ぶつけどころの無い不条理を感じつつ、時の経過を待ちます。

現代社会…特に民主主義の国では、貴重な労働力が「踏まなくてはならない手続き」に忙殺されます。
私は、これが実に苦手です。
もし、「そちら様を信頼申し上げておりますので、ご説明は省略で構いません」と言っても無理でありましょう。
ご丁寧にも説明終了後、「この項目、確かに伝えました」という、チェックの入った紙を渡されました。

独裁国家では、国家システムの多くの場面でこれが省略されているのだと想像します。
その意味からは、民主主義と独裁が争うと、民主主義は到底敵わないのでは…と、怖くなります。

「踏まなくてはならない手続きを、きちんとこなすこと」
年金を受け取る「資格」として、新たに付け加えたい項目です。

= 2025/06/10 杜哲也 =

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