column
【第24回/笑うこと】
子供の頃、テレビで三波伸介を見るのが好きでした。
単に、出てくるだけでおかしかったのを覚えています。
それがとても凄いことだ…というのがわかったのは、彼が亡くなった後のことでした。
音楽のない人生が想像出来ないのと同じように、笑いのない人生はあり得ません。
しかし一方で、大人になると、腹が捻じれるほど笑う…ということがめっきり少なくなります。
他の感情…例えば、怒る、悲しむ、喜ぶなどは、大人子供に関係なく、全ての世代で「思いっ切り」やっています。
それらに対して、笑うことは、何故か子供時代を「上回る」ことが出来ません。
私がyoutubeで見るコンテンツで、音楽に次いで多いのがお笑いものです。
各人の仕込んだ芸を見る楽しみもさることながら、大の大人が人前に出て、「何とかこいつらを笑わしてやろう」と悪戦苦闘する姿には、芸事の原点を見る思いがします。
それは、陸上競技にスポーツの起源を感じるのと似ています。
同じ音楽を好む人に対して仲間意識を感ずるように、笑いを共有することは私にとってとても大切です。
むしろ、嗜好がはっきりと分かれる点においては、明らかに音楽より上。
音楽は良くも悪くも小難しい理屈を述べる余地がありますが、笑いにはそれがありません。
共に腹を抱えればすぐに一体感が出ますし、そこ笑う所じゃないでしょ…となれば簡単に友情は壊れます。
笑うことは、最も単純な人生の目標になります。
笑わせてくれる人は、最高の友人になります。
You'll find that life is still worth while, if you'll just Smile.
私の大好きな曲「Smile」の中の一節です。
洋の東西を問わず「笑うこと」には、ある種の悲しさも付いて回る気がするのです。
2012/08/01 杜哲也