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【第64回/最高裁判決】

この言葉自体、何だかとってもエラそうな響き。
へそ曲がりの私は、それだけで既にもう抵抗感いっぱいなのですが、それは別問題。
今日は真面目なお話です。

三日前、夫婦別姓を禁ずる現民法が違憲にあたるか…について最高裁判決が出ました。
音楽業界には、日頃使っている名前と戸籍名が異なる人たちが沢山います。
今回私も、果たしてどんな判決が出るのか、とても興味深くこの日を待っていました。

この判決には15名の裁判官が参加した…との報道がありました。
つまり、今話題の「裁判員」は1人も参加していないことになります。
殺人事件には素人の判断を加えるものの、夫婦別姓についてはプロだけで決める、ということなのでしょう。
…矛盾は感じますが、そこはツッコム所ではないのでスルー。

ならば、15名のプロの皆さん。
皆さんは、国民の前に出て、プロとしての十分な説明責任を果たしましたか。

音楽を始め表現活動をしている人たちは、自分の顔と名前を晒して勝負しています。
芸能人やスポーツ選手の不祥事は、取分け大きく報道されます。
「権力者」と呼ばれる人たちには、より一層厳しくチェック機能が働きます。
議員や大臣が、日々マスコミから叩かれている様子を見れば一目瞭然でしょう。

最高裁判決には、実に重みがあります。
判決により、国の方向性が決まるのですから。
三権の中で、司法だけが「雲の上状態」で良いはずがありません。
現状はまるで「神の裁定」。
「どうやら、とお~いお国のえら~い人たちが決めたらしいよ…」という空気。

彼らは、中立性を守るため、日々のお付き合いも下手には出来ない生活…という話を聞いたことがあります。
議員さんたちが年賀状を出せないのも妙な感じを受けますが、裁判官の皆さんはどんな制約の中で暮らしているのでしょう。
そんな「血の通わないエリートたち」によって、大切な判定が下されることに対し、なぜか世論は盛り上がりません。

私は、お世話になった区役所職員の方に菓子折りを持って行ったことがあります。
「杜さん、本当はこれ、法律違反なんだよネ。」
と笑っていました。

今回「合憲」を決めた15名の皆さんも、この夏「安保法案」を通した内閣の皆さんも、同じ「権力者」。
複雑な現代社会、難しい問題が沢山あることでしょう。
素人が下手に口出ししない方が、結果としてうまく進むことだって、そりゃあるとは思いますよ。

そんな時、「どこの誰か分からない15人が決めた」というより、「安倍晋三率いる15人が決めた」という方が、健全に決まっているじゃあないですか。
私たちはそれを見て、「次の行動」を決めるしかないのですから。

出て来いッ裁判官!

2015/12/19 杜哲也


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