column
【第67回/バッハとベートーベン】
バッハは、依頼されたものをしっかりと書きました。
ベートーベンは、頼まれてもいないものを黙々と書き続けました。
バッハは、二度結婚して20人もの子宝に恵まれました。
ベートーベンには、家庭を持つエネルギーは残っていませんでした。
バッハは、視力を失って作曲活動を終了しました。
ベートーベンは、聴力を失っても作曲し続けました。
バッハが亡くなった時、周囲は「あ~せいせいした…」という空気でした。
ベートーベンが亡くなった時、国中悲しみに包まれお葬式には2万人が集まりました。
バッハは、今日の仕事をきちんとやったのだと思います。
ベートーベンは、明日の仕事に邁進したのだと思います。
二人の生年には85年のズレがあり、その間、音楽を取り巻くヨーロッパ社会は大きく変化しています。
そして勿論、各々の性格、生まれたご家庭、交友関係などは大きく異なります。
二人共、それぞれの条件の中で、自らの芸術的追求心には妥協がなかったのだと思います。
二人の音楽を聴くと心からそう感じます。
「これぞ自分の仕事だ」と誇りを持って言える…、そんな人生にしたいです。
2016/03/10 杜哲也
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