column
【第73回/片耳が聞こえなくなりました】
50歳になる頃から、どことなく聞こえ方が変…という自覚症状はありましたので、かれこれ5~6年です。
たまの空き時間に様々な検査を受け、最終的な診断を頂いたのが2年前の7月。
右耳奥に出来た腫瘍によって、右の聴神経が潰されていました。
症状はゆっくりと進行し、現在、ほぼ左耳だけでの生活です。
私も、ベートーベンの領域に「半分だけ」入りマシタ(!)。
残念ですが、現代の医学では聴力の回復は不可能です。
ま、運命と思って受け入れるしかありませんネ。
わざわざこれを、ここに書く気になった理由を考えてみました。
まず1つめ。
発症当初、仕事柄「これは周囲に知られてはマズイ…」という意識がとても強かったのです。
当時の心理的な葛藤はかなり大きかったため、ある程度、周囲に告知を終えた今、随分楽になりました。
そして、より広く、あっさりと告知するには、このcolumnページが一番手っ取り早いと考えました。
2つめ。
公表することによる周囲へのメリット、というものを意識し始めました。
聴力障害というものは、各種運動機能や視力、発語能力といった障害と比べて、どうしても相手方に伝わりにくいのです。
私から積極的に言わないと、単に「返事をしない無礼者」になりがちです。
この手の話は、基本、本人発信ですから…。
3つめ。
50も過ぎれば、肉体的疾患のひとつやふたつ、あって当たり前。
腱鞘炎で弾けない人、怪我で片腕を失った人、視力を失って歌い続ける人、…沢山の人たちがそれぞれの方法で表現活動を継続しているはずです。
幸い私にはまだ片耳が残っており、出来ることは幾つもあるでしょう。
実際、ここ数年で書いたものは、かなり充実しているという自覚もあります。
ふつつかながら、今後とも何卒よろしくお願いします。
2016/09/08 杜哲也
《homeに戻る》