column


【第21回/一人でやれッ】

自分の中に芽生えている「その気持ち」が、本物かどうかを確認するのに、「一人でもやるか」という基準を使います。
そこで線を引くことにより、自分の本当の気持ちが見えてきます。

例1、あのコンサートに行きたい…という気持ち。
誰と行こうか…なんて考えずに、行きたければ一人で行きます。
例2、あのラーメンが食べたい…という気持ち。
誰と食べようか…なんて考えずに、食べたければ一人で食べます。
例3、あの学校に行きたい…という気持ち。
あの人は受験するかな…なんて考えずに、サッサと一人で勉強します。
「その気持ち」が本物ならば、一人でやるものです。

ただ、世の中そうそう「一人でやれる」ことばかりではありません。
例えば、恋愛や結婚なんてお相手あっての話。
この場合は、次のように置き換えます。
上司に薦められた縁談だから…ではなく、たとえ周囲に反対されても乗り越える覚悟があるか…と。
こんな所から、自立と共生のバランス感覚が養われていくのだと思います。

音楽の世界は、「一人でもやる」という人が比較的多く集まるところです。
しかし、大半の音楽表現は一人では出来ません。
こんな時こそ、リーダーが大切になります。
リーダーは、「一人になってもやり抜くぞッ」という強い意気込みを見せます。
メンバーたちは、尊敬するリーダーの要求に応えるべく日々練習を重ねます。
そんな緊張感のあるユニットから、質の高い表現が生まれるのだと思います。

ところで、私は「これぞ一人でやるべき」と考えているものがあります。
それは宗教です。
宗教こそ、個人の思想信条、心の問題。
正に「一人でもやる」にピッタリの素材です。
しばしば耳にする宗教トラブルも、「一人でやれッ」の一言で粗方解決すると思うのですが、、、。

2012/05/01 杜哲也